「美容整形と私」

 

 私たちニューハーフと呼ばれている、いわゆる綺麗系の方々の半分は、
どこかしら美容整形を施していると言い切ってもいいぐらい私達は美容整形が好きです。
特に関西の方々に於いて言えば、もう80パーセントのニューハーフが美容整形を
施して
いると言ってもいいでしょう。
私たちは美に対する意識やこだわりが特別に強く、より美しく綺麗になる為にはお金や時間は惜しまないのです。
なにより、もともと男として生まれてきてわけだから、いくら生まれつき女っぽい顔立ちでも限界があるのです。
だからもっと女の子みたいに丸いおでこにしたいとか、目はお人形のようなクリッとした二重にしたいとか、
鼻筋は通ってる方が綺麗だしあごはちょっと出して可愛くキュートにとか・・・
次から次えと美貌に対する欲望は果てしなく、個々に自分の描く理想の顔や体を得る為に美容整形に通うのです。
すごい人になると、目の二重の幅をあと3ミリ上にして欲しいとか、くびれたウエストにしたいと、
肋骨を2本取り出したりとか、かなり美意識の強い人手さえいるのです。

 私が初めて美容整形をしたのは23歳の時でした。ちょうど「石の上にも3年」ではありませんが、
白い部屋で働き始めて3年目の夏でした。とりあえず3年間頑張ってみたものの、
どうせこれからもこの道で、しかも一線で頑張りたいのだから、
綺麗になることはこれ以上私が働く上で必要な事だと自分で決断したのです。
しかし決断するまでは私なりに悩みました。両親から頂いた五体満足な顔と体に、
必要でもないメスを入れる事は果たして本当に良い事だろうか。手術をしたらもう女顔になる訳だし、
胸だってそうそう抜いたり出来ないとなると、もう男に戻ることは困難になるんじゃないか、
手術が失敗したらどうなるんだろうとか、本当に考え込みました。
けれどその決断は私がこの道でとことん生きるという決心になったのです。
どうせこの道で生きるなら、より綺麗なほうがお客様に対する窓口は広がるからです。
ただ女になりたいとか、安易に綺麗になりたいという発想はちょっと違う意図だったのです。
だから必要でない手術も私にとっては必要な手術となったわけです。

 美容整形の先生がこんな事を言っていました。色々な女の子が毎日何人もやって来るけど、

もともと暗く浮かない顔をしている女の子が、整形をして人生バラ色に変わるんじゃないかと
安易に考えて手術をしても何も変わらないと。だってもともと前向きに生きてなく他力本願で整形しても、
周りの人だって振り向きもしてくれないだろうし、
たとえ綺麗になってもそれは一瞬の出来事で、
その女の子の人生を変えるまでの出来事ではないと言うのです。

そういう女の子は何回も手術を失敗だと先生にくってかかってくるそうです。

でも、自分の顔や体のコンプレックスと戦い、それでも自分なりに生きていくいく道をみつけ
精一杯生きている女の子が、どうしてもそのコンプレックスが心の障害になって整形をしたという場合や、
一生懸命に人を愛し、失恋をして傷つき、でももっと素敵な出逢いを求める為に整形した女の子は、
人生がより一層前向きに生きられるようになったと感謝されるそうです。
先生の話はとても納得出切る様に思えます。

ニューハーフの世界でも、商売も会話も踊りもまだまだ未熟なくせに、
入りたての子が見た目からすぐニューハーフになりたいと、顔をいじり、胸を入れ、
18歳位で性転換まで全部する子がいます。
でも全員が全員ではないのですが、そういう子はちょっと欠陥の有る子が多いように思えます。

まずは自分の生まれた姿で何年か頑張るだけ頑張って、やっぱりこの道でしか生きられないと決断したうえで、
整形でもなんでもして欲しいのです。

 整形の話は終わりなく続きますが、また書いていこうと思っています。それにしても、根性とか性格まで整形で直せる事が可能ならば、いくらお金を払っても直したいと思っているのは私だけでしょうか・・・・・・。


*このエッセイは1998年よりヤンナイに掲載されたものです


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